最新工場で作られる福寿園の抹茶
工場の設備や機械の面からお茶づくりを支えている藤本夏彦さんに、2023年3月に増設した「抹茶匠工房」のことを中心にお話を伺いました。

生産開発グループ 生産チーム 設備技術担当
生産開発グループ
生産チーム
設備技術担当
藤本 夏彦さん
抹茶匠工房は、
どんな施設ですか?
2017年より増設に向け着手した抹茶専用の工場で、ISO14001(環境)、FSSC22000(食品安全)の国際規格の認証を受けています。石臼の台数を4倍に増やし、温度・湿度管理はもちろんのこと衛生管理も徹底した工場です。従業員は、抹茶匠工房に入場するまでに2回エアシャワーを通過する必要があり、付着したゴミなどは持ち込まれません。抹茶の原料となる碾茶(てんちゃ)を工房内に入庫する際も「パスボックス」というエアシャワーを通過させています。
室内は、気圧を外気よりも高くすることで、気圧が高い方から低い方へ流れる特性を利用し、常に清浄な空気を保っています。
挽いた抹茶を自動で袋詰めする充填機や、新たな原料茶づくりに挑戦すべく、従来よりも粒度を細かくふるい分けることができる分級機も新たに導入しました。

藤本さんがお持ちの資格や、仕事内容について教えてください。
電気の制御回路の不調による修理・改善を得意としておりますが、より仕事に役立つ資格を取得したいと思い、入社後、第3種電気主任技術者とエネルギー管理士(国家資格)や、認定電気工事従事者を取得しました。これらの経験や知識を活かして、工場全体の機械のトラブルが発生した場合の修理・改善や、新しい機械、設備、工場導入の業務を担当しております。後者は莫大な投資費用をかけて行うため、どんな機械・設備を導入するかなど、メーカー企業に直接赴いて調査をし、比較検討するところから慎重にスタートさせます。竣工式・起動式が迎えられた日には、達成感を感じます。また日々の業務においては、お客様に、安心・安全なお茶をスピーディーにお届けするために、常に機械を万全な状態で稼働させなければなりません。繁忙期に機械トラブルが重複すると早く復旧させなければ、とプレッシャーを感じることもありますが、毎日機械に接する工場の方々の協力を得ながら、工場運営を支えております。

弊社の抹茶の特性と今後の目標について教えてください。
石臼挽き抹茶は、石臼同士の摩擦による適度な熱伝導が抹茶との相性がよく、ほのかな香りを漂わせるため、弊社では、一部業務用の抹茶以外、石臼挽きにこだわっています。石臼で抹茶を挽くには、1時間にわずか数十グラムの抹茶しか作ることができません。また臼の「目立て」(刻み目)は、こまめなメンテナンスが必要です。丁寧に挽かれた抹茶は、約10マイクロメートルの微粒子となり、なめらかで非常に豊かなコクや旨味を感じる抹茶になります。石臼によっても特性が異なるため、ランクの高い抹茶ほど上品で奥深い香り、深いコクと強い旨味が感じられるように、より細かく挽ける石臼を使って生産しています。
※1マイクロメートルとは1mmの1000分の1のこと。

2023年に導入した分級機を使いこなせば、これまでにはない業務用の抹茶製品を作る可能性が広がるのではないかと考えております。ぜひどんな抹茶製品が世の中に出回るか、楽しみにしてください。
広報誌「FUKUJUSO 2023年8月号」より ※記載されている内容は掲載当時のものです。
広報誌「FUKUJUSO 2023年8月号」より
※記載されている内容は掲載当時のものです。